食品サンプル展の見どころポイント!その④
こんにちは!7/9まで開催中の開館25周年記念特別展「食品サンプル展~さわって、撮って、科学する!~」の担当学芸員の岩下です。
まだまだまだ紹介したい「食品サンプル製作コンクール作品コーナー」の作品見どころポイント!をご紹介します。
今回は、スイーツ(お菓子)作品をピックアップしてみます。
まずは、作品タイトル【マドレーヌ】
この作品は、今回6/24の一部展示入替えで初登場した作品です。「これは本物ではないんですか?」とよく聞かれる作品です。
まず、マドレーヌが焼けていく過程を再現している部分に注目してみましょう。右から左の順番で焼けているようです。
横から見てみるとよくわかるのですが、焼けていくとだんだん膨らんでいる様子がわかります。型のふちを見るとわかりやすい!
また、一番右のタネの“ツヤ”が左にいくにつれてだんだんなくなっていき、そして焼き上がりと共にこんがりきつね色になってふんわり感を感じます。
生地から焼けるまでの表面の状態と色味の表現がすばらしい!
生地づくりもリアル。画像だと、もはや素人目には食品サンプルとの見分けはつきません。
そっと添えてある「レモン」。よく見るとすりおろした跡が!?レモンの香りが漂ってきそう・・・
割ったら、もうマドレーヌにしか見えません。下の欠片が、「本物あるある」っぽいなぁ。
食品サンプルのマドレーヌの柔らかさはどうなんでしょう?本物と触り比べてみたいですね。ああ、おいしそう・・・
お次は、作品タイトル【おやつやでぇ~!】
たい焼きが5個あります。それぞれ何餡が入っているのでしょうか?
ところで、食品サンプルのたい焼きは、餡と皮をそれぞれ別につくっているように見えますが、どうやって餡と皮をくっつけているのでしょうか??
こちらの半分割ってあるたい焼きは、定番の「つぶあん」ですね。小豆の粒もしっかり見えているのが素晴らしい。
実際の餡ではこしあんの方が作る手間がかかると言われておりますが、食品サンプルの場合は、つぶあんとこしあんではどちらの方がつくるのが難しいのでしょうか?
小豆のつぶれ具合もリアルに表現するとなると、つぶあんの方が大変なのかな??職人さんに聞いてみたい・・・
こちらは、尻尾の方を割っているたい焼き。
こしあん?と思いきや、チョコレートみたいですね。こしあんと違って、とろっと感と光沢があります。
こちらのたい焼きは、頭の方が割れていますね。
カスタードの餡でしょうか。最近、あんこ餡と同じくらいよく見かけますね。僕も好きでよく食べます。
問題は紙袋に入っているこの2つ、割っていないので、餡の種類を想像するしかないのです。ただ、餡の色が外側の皮に透けて見えるので、ある程度餡の種類がしぼられますね。
本物の皮の薄いたい焼きでも、中の餡が透けて見えるので「私カスタード!」「僕はチョコレート!」の要望にも、割って中の餡を見なくても配ることが出来ます。
奥のたい焼きはカスタードかな?中の餡が黒く見えないですものね。芋餡の可能性もあるのか!?
手前のたい焼きは中に黒色の餡があるように見えますね。チョコレート?つぶあん?それとも、こしあん?
他の3つのたい焼きをあえて割って中の餡を見せていることで、より想像力が搔き立てられる、なんともにくい演出!
ところで、この割っていないたい焼きの中には、本当に餡が入っているのでしょうか?皮部分の着色技術でも表現できそうですが・・・
たい焼きの割り方の位置も含めて、色々想像して楽しめる作品です。
お次は、作品タイトル【フラワーケーキ】
ホールケーキから、1人分を切り分けている様子を表現しているです。カラフルなクリームが何ともきれいです。
つい私たちの頭の中では、「ケーキを切ったらこうなる」のは当たり前のように感じてしまいますが、これ、食品サンプルなんですよ。
断面に注目してみると、きちんとケーキのスポンジの層がきちんと見えていますね。
ところで、他のところを切っても中はスポンジになっているのでしょうか?スポンジになっているとしたら、どうやったらつくれるのかな??
もう少し拡大して見てみましょう。
ちょうどお花のクリームのところできれいに切れています。
まさか・・1人分のケーキをホール側に当てはめてみると・・・
すごい!パズルみたいにぴったり当てはまってしまうではありませんか!ほんと、どうやってつくったんだろう??
ホールケーキを丸々つくって切り分けた? でも、切った部分のスポンジはどうやってつくったのかな・・・
それとも、1人分のケーキとホールケーキ側のパーツを別々につくった? でも、ここまでぴったり合うのかな・・
ナゾは深まるばかり・・でもどうやって食品サンプルをつくったのかを想像するのは楽しいですね。それにしてもすごいものづくり技術だ。
そして最後に毎回恒例の、これは何でしょう?クイズ!
今回は本展で展示している食品サンプルスイーツ(お菓子)の名前を当ててみてください。特別に3問ご用意しました。
<第1問>
小さいシュークリームがたくさん積みあがっています。粉 砂糖のかかり具合が何ともいい感じ。
<第2問>
中にドライフルーツやナッツが入っています。生地の気泡、焼き色、ドライフルーツ、ナッツ・・これつくるの手間かかってますよね。製作難易度高そう・・・
<第3問>
ん~、これはパンケーキです。ただ、「◯◯◯◯パンケーキ」なのです。◯に入る言葉を予想してみてください。
口(?)から出ているものが何だか気になりますね・・・いや、色々気になるか・・・
答えは、各作品のタイトルになっています。ぜひ展示室でこの作品を見つけて、答え合わせをしてみてくださいね!
また、食品サンプルとして、どうやってつくられているのかをぜひ想像してみてくださ い。本物のお菓子の作り方とは違うはず!
残り8日間となりました。
ご来場お待ちしております。
岩下 貴文
学芸員の岩下貴文です。来館者の反応を楽しみにしながら、日々、様々な分野の企画展の企画を行っています。 自覚のない熊本訛りをよく指摘されます。 サイエンスショー、科学教室、出前講座、展示室内などで見かけるかも!?その時はそっと声をかけてくださいね。 面白い科学ネタ情報お待ちしています。