
食品サンプル展の見どころポイント!その③
こんにちは!7/9まで開催中の開館25周年記念特別展「食品サンプル展~さわって、撮って、科学する!~」の担当学芸員の岩下です。
お知らせでもご案内しておりますが、6/24から製作コンクール作品の展示を一部を入替えました。
そこで、前回に引き続き、まだまだ紹介したい「食品サンプル製作コンクール作品コーナー」の作品見どころポイント!をご紹介します。
まずは、作品タイトル【えっ!?木じゃないの!?】
一見、木に見えますが、よく切り株の上の方を見ると・・・穴はあいていませんが、どうやらあの有名なお菓子「バウムクーヘン」のようです。
バウムクーヘンを木に見立てて・・・いや、木をバウムクーヘンに見立てて・・・??
「バウムクーヘン」はドイツ語で「木のケーキ」を意味するそうです。
名前の由来を含めて、木の切り株とお菓子の両方を表現しているセンスが◎ですね!
大工さんが使う道具のカンナで削っている部分も見どころの一つ。薄く削ったものはやわらかいのかな?
食品サンプルでこのような薄いものを表現するのは難しいそうです。
ここにスゴイ技術を感じますね。ところで、このカンナは本物でしょうか?それとも食品サンプル?
バウムクーヘ ンの木の根元にある土の上に、クリやドングリ、木の枝や葉っぱなどが落ちています。実は土を含めてこれらは全て食品サンプルだそうです。いや~こだわりがスゴイ!!
お次は、作品タイトル【磯おろしうどん】
この作品は、特にうどんの具や薬味に注目です。この磯おろしうどんには、天ぷら、ワカメ、鰹節、ネギ、きざみ海苔、山芋とろろ、大根おろし、生卵、ワサビが入っています。
まず、手前の海老天のサクッと感、ワカメのつやとぬめり感、鰹節のふんわり感、ネギのシャキシャキ感に注目!
そして、奥のきざみ海苔のパリパリ感、大根おろしのシャリシャリ感、山芋とろろのとろとろ感と、こうも見た目や食感が異なるものを食品サンプルで表現できていることがスゴイ・・・
また、卵黄の色つやや、つゆが山芋とろろと大根おろしと混ざっている感じもリアル!!
もちろん、おにぎりのクオリティもすごいです。おこめ一粒一粒のリアルさもさることながら、海苔とおかかも本物そっくり。食べれないけど食べたい!!
お次は、作品タイトル【里山の春】
店頭の食品サンプルではまず見かけることがない作品です。「タケノコのメニューが季節限定だから?」いえ、そうではありません。
店頭に置かれる食品サンプルは、実際に提供される料理の状態が基本となります。お客様は、食品サンプルを見て、その量や品目などの料理の様子から、注文するかどうかを判断します。
実際にこの食品サンプルのような状態で料理が提供されたら・・・僕はたぶん笑ってしまうでしょう。
ただ、このような炊きこみ飯系料理の魅力は、何といっても底部分のご飯をひっくり返してみないと見えない“おこげ”ですよね。
そういう意味でも、この作品のように“おこげ”を見せる表現は秀逸だと思います。
土鍋のご飯を混ぜて、おこげとタケノコのバランスを考えて茶碗によそう・・・
本展では、このように料理の「食べ方の指南」の表現をしている製作コンクール作品が多数あります。「料理をどのように食べようかな」を想像できる表現も見どころポイントです。
「料理の完成品」と「食べ方の指南」の両方の食品サンプルを比較して見たいと思うのは、贅沢な願いでしょうか・・・
この作品で特に見ていただきたいポイントは、土鍋のまわりについている米粒のねっとり感です!しゃもじでご飯を混ぜる時にこうなりますよね。
“ご飯あるある”をしっかり見逃さずに、忠実に再現している観察力と表現力に脱帽です。
おまけのデザート・・・いや、もうこれ本物でしょ!?
そして最後に毎回恒例の、これは何でしょう? クイズ!
・・・そう、ラーメンです。これは何でしょう?というより、何かに気づきませんか?これで何か違和感に気づいた方は鋭い!素晴らしい観察力の持ち主です。
ヒントは、この食品サンプル作品のタイトルです。ぜひ展示室でこの作品を見つけて、タイトルと共にじっくり観察してみてくださいね!色々と気づくことがあるはず!?
ご来場お待ちしております。

岩下 貴文
学芸員の岩下貴文です。来館者の反応を楽しみにしながら、日々、様々な分野の企画展の企画を行っています。 自覚のない熊本訛りをよく指摘されます。 サイエンスショー、科学教室、出前講座、展示室内などで見かけるかも!?その時はそっと声をかけてくださいね。 面白い科学ネタ情報お待ちして います。